女性のアカペラグループ、ナム・ゾン・ケー(5 Dong Ke)の2作目のオリジナルアルバム「トゥ・ティン・カー(Tu tinh ca、日本語で、「自恋歌」)」。歌うメンバーの表情が魅力的なこの一枚、チン・コン・ソン、グェン・アイン・チンら、ベトナム音楽界の巨匠の楽曲がコンパクトにまとめられている。
胸に飛び込む歌姫たちの美しい旋律。恋愛歌の秀作が、奇をてらわぬ「声」のアレンジで新たな姿に――地面を静かに震わす低音から天上に届かんばかり高音まで、ヴァラエティに富む歌声が、重なりあってオーケストラにも似た響きをつくる。
オススメは2曲目の「Le da(涙石)」、5曲目のグェン・アイン・チンの楽曲メドレー「トゥー・ティン・カー」。メドレーだが、予備知識なしで聴けば、一つの楽曲かと思えるほど完成度が高い。収録は全6曲、一聴後に「再生」ボタンに手を伸ばしたくなるだろう。
ナム・ゾン・ケー 5 dong ke
ナム・ゾン・ケーとは五線譜のこと。2001年にグループ結成。当初はホン・ゴック(Hong Ngoc)、バオ・ラン(Bao Lan)、ラン・フーン(Lan Huong)、トゥイー・リン(Thuy Linh)、ザーン・ソン(Giang Son)の5人で活動していた。
ハノイで音楽を教えるザーン・ソンがこのアルバム「トゥー・ティン・カー」の制作を最後に脱退。「五線譜」の線は一つ欠けたものの、美しい旋律は場数を踏むごとに厚みを増している。
最近の活躍は目覚しいものがあり、在住者のなかにはテレビなどで目にしたことがあるという人も多いのでは? 音楽カフェなど、小さなスペースで生の声を聴けば、その魅力にとりつかれること間違いなし。グループの中心的存在バオ・ランは作曲も行う 。