やはり美人というものは、それだけで絵になるものである。蒼に映える美しい人のうつむく横顔。そこには、いつまでも眺めていたい絵画のような趣きがある――
ベトナムポップス界の女王タイン・ラムと実力派女性シンガー、ハー・チャンのコラボ・アルバム。二人が敬愛するチン・コン・ソンの「偶然(Ngau Nhien)」のデュエットから始まり、エンドトラック「あなたが来る日(Ngay Anh Den/Electro Remix)」まで、聴き手を飽きさせない趣向を凝らした一枚。
ソロトラックはもちろんのこと、秀逸なのは互いが声を重ねることで、新たな響きを生んだ「あなたが来る日」や「一緒に歌って(Hat Cung Em)」、「夢(Giac Mo)」などのデュエット。
ワールドワイドに活躍する越系デンマーク人ジャズミュージシャン、ニルス・ラン・ドーキー(Niels Lan Doky)から楽曲の提供を受けているほか、人気サックスプレーヤー、チャン・マイン・トゥアン(Tran Manh Tuan)なども制作に参加。
タイン・ラム(Thanh Lam)
“女王”の異名は、その圧倒的な歌唱力にちなむ。重厚、深みのある歌声は聴く人の胸を強く打つ。パフォーマンスのアクが強いことから、好き嫌いの分かれる彼女だが、実力は誰もが認めるところ。ステージ上で憑かれたように歌う姿は、まさに“女王”の迫力だ。
父は作曲家トゥアン・イェン(Thuan Yen)、「黄昏の別れ(Chia Tay Hoang Hon)」は父娘の傑作としてあまりに有名。
ハー・チャン(Ha Tran)
本名チャン・トゥー・ハー(Tran Thu Ha)、ベトナムポップス界のDivaの一人。「日食(Nhat Thuc)」、「9803」など他のアーティストとは一線を画したアルバムタイトル、ジャケットデザインで知られるが、“主張”する声質ではないせいか、実力に人気が比例していない感がある。
越僑と結婚し現在はアメリカを拠点に活動。本名の他、最近ではハー・チャンをクレジットに使うことが多い。今年「コミュニケーション06(Doi Thoai 06)」を発表。