「仕事を探しています。財政・銀行学部卒業、国家証券委員会の資格有り。MATLAB、C++プログラミング、エクセルVBAできます」
こんな文が書かれた段ボールを、自転車の前と後ろに取りつけ、タインさん(22歳)は1日中、サイゴンの街中を自転車で走って、仕事を探している。
「昨年7月にホーチミン市財政・マーケティング大学を卒業し、いくつも応募し面接も受けましたが、ダメでした。インターネットで募集している会社などは、実際に行くとマルチ商法だったり。ずっと待つこともできないので、こうやって宣伝することにしました。どこかの採用担当者に見つけてもらえるといいのですが……」タインさんは汗をぬぐいつつ話す。
仕方なくこのような形にしたが、最初はやはり不安もあったという。バイクも考えたそうだが、スピードをコントロールしにくく、ガソリン代もかかるため、ちょうどいい速さで、情報が目につきやすい自転車にしたそうだ。自転車の籠には、いつでも渡せるように、必要書類を用意している。