数々の観光名所がある西北部だが、自動車などの便が悪いため、観光客は通常列車でハノイからラオカイ省やイエンバイ省に向かう。だがその復路が、旅行者にとって悩みの種となる。ハノイに戻る列車のチケットが手に入らないからだ。ただ駅の外では客引きがこう呼び込む声が聞えてくる「駅は売切れ、買うならここだけ!」。
チケット売り切れが信じられず駅まで行ってみたところ、構内には数人の姿しかなかったものの、チケットは売り切れていた。
駅の門を出ると、あるタクシードライバーが近寄り、仲介業者を探すよう勧める。迷っていると、彼はマイという女性に電話をかけ、私たちに取り次いだ。
マイは何枚必要なのか尋ね、値段を教えてくれた。1段目か2段目か、エアコン付きハードベッドかにかかわらず、価格は1枚35万ドン(約18ドル)という。駅での価格はたった22万5,000ドン(約12ドル)、なぜそんなに高いのか尋ねると、たくさん買うなら1枚あたり5,000ドン値下げするといい、こう話した「買わないなら1カ月待ったって手に入らないわよ!」。
取引が不成立に終わったのを見て、別のドライバーが近寄り、安く売っているところがあると言う。その彼はハンという女性を呼ぶ。バイクでやってきたハンは8枚ほどのチケットの束を手にし、「3枚で100万ドン(約53ドル)。これより安くは売らない」と言う。私たちは翌朝のチケット3枚を、しぶしぶ買うしかなかった。