店員は座り込みテレビを眺め、客が来ても何か聞かれるまで動かない。品数は少なく、一回りで商品を覚えられるほど――ハノイ・ノイバイ国際空港内の免税店での光景だ。
免税店で人気のはずの香水は「外」より安いわけではなく、サングラスやバッグ、靴も値下げされてはいるが、デザインは流行遅れのものばかり。
シンガポールへ行くというNさんは、免税店での買物はチャンギ空港でするという。ノイバイ空港の免税店に惹かれるものはなく、買うとしてもお酒やタバコだけと話した。
8月中旬、ホーチミン市タンソンニャット国際空港の新ターミナルがオープンしたが、免税店の品数は少なく、値段も安くない。空港免税店で働くQさんによると、賃貸料の高さが企業の出店を躊躇させる原因の一つという。
アジア太平洋地域の空港内免税店の収益は年200億ドル以上、空港の総売上の30%以上を占めている。免税店は空港の魅力をはかる要素の一つで、外貨収入源でもあり、少しの投資でより多くの利益が得られるビジネスだという人もいる。
だが現在のような状況では、ベトナムの免税店が、外国人旅行者のお眼鏡にかなうのは、まだまだ先かもしれない。