ベトナムの道を行けば、クラクションが聞える。農村であっても都市であっても、モダンな生活を送っているはずの新興住宅地であっても。
ハノイを訪れたなら、ノイバイ空港を出た瞬間に、クラクションの音に眉をひそめるはずだ。これはもはや欠くことのできない習慣のようで、なかには、クラクションが必要ないならなぜメーカーは取り付けているのか、と、とぼける人もいる。
東南アジアの某国でのキャラバンに参加したときに、ガイドがドライバーに、なるべくクラクションを使わないように、特に住宅地では、と注意を促す姿を見た。説明によると、クラクションの音は聞く人の頭を痛ませ、間接的に交通事故を起こすという。
しかしベトナムでは違う。都市中心部から離れれば、クラクションの音は少ないが、街中なら、やたらめったら聞えてくる。自動車は、そこをどけよと前を走るバイクにクラクションを浴びせ、どうしたって前の車両が後ろの車両に譲れる状況になくても、ブッブー。
ホーチミン市でもハノイでも、交差点で信号停車し、青に変わってすぐ走り出さなければ、後ろからクラクションの嵐。バスのクラクションはけたたましく、切れ目もなく、国道などの幹線道路では、トラックのクラクションにバイクドライバーは生きた心地もしない。