1月15日、本紙の取材に対し国際協力機構(JICA)ベトナム事務所の築野元則所長は、16日からのベトナム訪問で安倍晋三首相が、ノイバイ空港T2旅客ターミナル、ニャッタン橋および接続高速道路といった日越戦略的パートナーシップの代表的なプロジェクトを目にするであろうことは喜ばしいことだと話す。
「首相が最初の外遊先にベトナムを選ばれたのは非常に喜ばしい。両国関係が新たな水準に進展する良好な兆しと言える」と言う築野所長に話を聞いた。
Q: グエン・タン・ズン首相との会談で安倍首相はどのような問題に触れるのでしょうか?
A: 安倍首相がハノイに滞在されるのはかなり短い時間ですが、過去に2度東京とハノイで会談しており、会談は非常に有益なものとなり、素晴らしい成果が期待できるでしょう。
安倍首相は、日越戦略的パートナーシップの重要性を再度強調され、インフラ整備、日本の対越投資の促進、人材育成支援、工業政策の改善などを通じ、2020年の工業化・近代化達成に向けた日本政府のベトナムに対する強力な支援などについて言及されると思います。今回の訪問が、ベトナムと日本の「絆」を強め、協力関係がさらに進展すると信じています。
Q: ベトナムは投資環境の改善政策を持ち、うち日越共同イニシアチブ第4フェーズは2011年末に成功裏に終了しました。日本の投資家はこれをどう捉えたのでしょうか?
A: 2012年に日本のベトナム投資が最も多かったことほど、明確な証拠はないでしょう。昨年、国内で事業を行う日本企業は、円高や不況で多くのリスクに晒されました。一方で中国に投資する日本企業は、一極投資のリスクを減らそうと新たな投資先を探っています。
人件費でアドバンテージがあり、政情が安定し、インフラが改善されつつあるベトナムが、日本企業にとって最良の目的地となっています。これらの要素から、日本のベトナム投資は引き続き増えると思います。
Q: 近年、日本の対越ODAは増えています。ベトナムが大型インフラプロジェクトを非常に必要とするなか、今後も日本政府は対越ODAを継続するつもりですか?
A: 日本政府はベトナムに対するODAを高水準で維持すると信じています。2012年度(2013年3月終了)の対越ODAは過去最高の26億ドルの見込みです。
2013年は、ハイフォンのラックフエン深水港に着工する予定で、総額1,500億円のうち1,200億円が日本のODAです。ハノイ都市鉄道1号線、2号線は、2014年着工、2018?2019年の完成に間に合うよう入札手続が年内に行われる予定です。
ホーチミン市都市鉄道1号線、ノイバイ空港T2旅客ターミナル、ニャッタンと接続高速道路といった重点ODA事業は2013年も継続されます。つまり今年は空路(T2旅客ターミナル)と海路(ラックフエン港)のゲート整備の支援に集中します。
日本の技術と資金によってベトナムの皆様に最良の利益がもたらされることを願っています。
■「ベトナムは潜在力ある」
1月13日のNHKのインタビューで安倍晋三首相は、「ベトナム、インドネシア、タイは成長の潜在力がある国。より大きな国際経済システムを構築するなかで、日本とこれらの国との関係を強化したい」と述べている。
日本側はこれら3カ国を含むアジアで活動する日本企業の存在力を強め、中国への依存を減らし、韓国企業との競争で対抗したい考えだ。
今回の訪問で安倍首相は、新政権のアジア外交政策の基本方針を発表する予定。新政権はODAを通じた、社会インフラや工業団地の整備での東南アジア各国の支援を検討する予定で、これにより中小企業を含む日本企業の現地での事業拡大をサポートする。
安倍首相は、中国による海上活動の強化を懸念している国々との安全保障協力を強化する考えを明らかにしている。
10日に行われた記者会見で岸田外務大臣は、「中国は南シナ海での問題を多数抱えている。いかにして中国に対抗するかが各国の共通問題だ」と述べている。日本はオーストラリアとインドと安全保障協力に関する共同宣言に署名しており、これらの国との合同軍事演習にも参加している。新政権は今後、同様の安全保障協力を促進していく。